高野悦子は『二十歳の原点ノート』にある1963年から日記を書き残しているが、それ以前の文章等はこれまで知られることはなかった。
ここでは1962年、高野悦子が西那須野町立西那須野中学校2年生当時に学級新聞『二・三タイムズ』(西那須野中学校2年3組、1962年)に掲載された作品を紹介する。学級新聞は謄写版(いわゆるガリ版)で印刷されている。原紙を切ったのは別の生徒で、作品の筆跡は高野悦子本人のものではない。いずれの作品も紙面上では各コーナーの最初に割り付けられている。
(『二・三タイムズ第1号』(1962年7月))
(『二・三タイムズ第2号』(1962年11月)※若干の表記の手直しを行った。)
森鴎外「高瀬舟」荒正人編『森鴎外名作集─少年少女日本文学選集2』(あかね書房、1955年)。「高瀬舟」(たかせぶね)は森鴎外(1862-1922)の短編小説。財産の有無と欲望、安楽死を主題としている。「高瀬舟縁起」は「高瀬舟」と同時に発表した自作解説である。
1962年度の西那須野中学校2年生の主な行事は12月末まで以下の通り(「昭和37年度行事」『桑の実16号』(西那須野中学校生徒会、1963年)参考)。
・ 4月 9日(月) 始業式
・ 5月 1日(火) 2年生遠足(日光)
遠足は5月1日(火)朝、2年生6クラスが各クラスずつバス計6台に分乗して出発。ガイドの説明を聞きながら、いろは坂(現・第一いろは坂)、華厳の滝、中禅寺・立木観音、明智平・日光ケーブルカー、日光東照宮・陽明門などを見学した。
第二いろは坂は1965年開通で当時まだなく、一方で日光ケーブルカーは1970年に廃止されている。
・ 5月17日(木) 校内陸上競技会
・ 5月28日(月) ~一斉テスト
・ 7月 5日(木) ~一斉テスト
・ 7月20日(金) 終業式
・ 7月31日(火) 2年生召集日
・ 8月10日(金) 全校召集日(大営火)
大営火は夏休み中の8月10日(金)夜に全校生徒が集まり、西那須野中学校の校庭で約2時間にわたって行われた。キャンプファイヤーが赤々と燃えて夜空に火の粉が飛び散って消えていく周囲で、歌や寸劇、踊りなどが繰り広げられた。全校生徒参加による「佐渡おけさ」が行われ、最後に校長が夏休みの過ごし方を話したあと、1分間の黙とうをささげた(「大営火」『西中生徒新聞昭和37年9月20日』(西那須野中学校生徒会、1962年)参考)。
・ 9月 1日(土) 始業式
・ 9月12日(水) 校内水泳大会
・ 9月16日(日) 校内陸上競技会
・10月 4日(木) 秋季大運動会
・10月 6日(土) 校内英語暗誦大会
・10月20日(土) ~一斉テスト
・12月25日(火) 大掃除
・12月26日(水) 終業式
☞町立西那須野中学校
高野悦子は年間を通して、2年3組の学級会副会長(いわゆる学級副委員長)を務めている。
☞〝初恋の人〟中学校同級生・杉本君「今でも覚えているあの場面」